京都迎賓館に生きる伝統的技能 Traditional Skills and Techniques in Kyoto State Guest House
京都迎賓館は、日本の伝統的技能や匠の技と現代技術を融合させた「現代和風建築」として設計されており、
活用されている伝統的技能は、建築において11種、調度品において14種があります。
建築に活用された伝統的技能(11種)
大工(数寄屋)
自然のままの材料を自在に組み合わせるなど非常に繊細で緻密な加工技術と、多様な種類の材木を組み合わせ全体として調和ある空間を創出する感性が求められる
左官
土壁・漆喰塗りの技術
特に聚楽土の施工は、多数の工程を要するため特殊な技術を要する
建具
開口部にとりつける可動の工作物(障子、襖)をいう
部屋と部屋の空間を自在に操り、室内の趣きを変化させることができる
表具
障子や襖・壁に和紙や唐紙を貼る技術
畳
日本の伝統的な床材であり、和室に不可欠なもの
使用されている畳は、「中継ぎ表(なかつぎおもて)」という昔ながらの技法で、イグサの良い部分のみを使って、中央で継ぎ合わせている。
錺金物
建築各部に用いる補強と装飾を兼ねた金具、釘隠、襖の引手など
漆
漆の木の樹液を加工した天然の塗料で、年月を重ねるほどに深い趣を増していく
紀元前(縄文時代)から続いてきた技術であり、日本人の感性と深く結びついている
截金
金箔やプラチナ箔を数枚焼き合わせたものを貼付け、種々の紋様を描き出す技法
庭園
地形の作成、樹木類の植栽や剪定整枝、景石の据付、種々の石組等の組み合わせにより作りあげるものであり、京都迎賓館は過去の庭園の模倣でなく、平成の和風庭園を目指している
石造工芸
灯篭、手水鉢、沓ぬぎ石など和風建築や和風庭園の空間に風情を与える役割を果たしている
竹垣
竹で構成した垣根
庭園内部の仕切りや目隠しとして活用されている
調度品に活用された伝統的技能(14種)
漆
漆の木の樹液を加工した天然の塗料で、年月を重ねるほどに深い趣を増していく
紀元前(縄文時代)から続いてきた技術であり、日本人の感性と深く結びついている
蒔絵
漆を塗った上に、金(きん)銀粉(ぎんぷん)または色粉(いろこ)などを蒔(ま)きつけて、器物(うつわもの)の面に浮かびあがるように絵模様を描きだす日本の代表的な漆工芸
螺鈿
貝殻の真珠層の部分を薄くスライスして、色々な形に切り、漆地(うるしじ)に埋め込んだり、貼り付けたりすることで、様々な表現をしていく伝統的な装飾技法
錺金物
建築各部に用いる補強と装飾を兼ねた金具、釘隠、襖の引手など
鎚起
金属の一枚板を打って彫刻的なものを作ること(写真では取手部分)
鋳金
溶かした金属を、型に流し込んで冷やし、道具や美術品を作る技法(写真では椅子の足先部分)
竹工芸
竹を編みこんで、籠などを作る技術
京指物
釘などを一切使わず、木と木を組み立てて家具や照明をつくる高度な技術を要する伝統的技法
木象嵌
木工芸の加飾技法
金属・木材・陶磁器などの材料に、模様を刻んで、他の材料(金・銀・赤銅及び色や種類の異なる材木など)をはめ込んだもの(写真では五七の桐部分)
西陣織
完成までに多くの工程を必要とする絹織物で、平安時代から受け継がれてきた卓越した技と美意識によって織り上げられる伝統的工芸品
西陣織の一種に有職織があり、西陣の製織手法の中でも特に高度な技術を要する高級織物
羅織物
極めて細い糸で織った網目状の絹の薄織物
京繍
絹織物、麻織物に、絹糸、金銀糸を用い伝統の高度な技法を用いて刺繍を施す
京組紐
組み玉と呼ばれる糸巻状の玉を組台に配置し、台から垂れ下がった組み玉の糸の部分を持ち上げて一定間隔で移動させて、紐を編んでいく
七宝
金属の素地にガラス質の釉薬を焼き付けて装飾する技法
これらの伝統的技能については、京都府内の大学に協力いただき、学生の視点で取材・編集した動画の発信をしております。こちらからご覧ください。